行政書士とは
行政書士は、行政書士法に基づく国家資格者です。
行政書士は、他人の依頼を受けて、官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類を作成します。また、作成できる書類について相談に応じ、官公署へ提出する手続を代理することもあります。日本行政書士会連合会も、行政書士を「行政書士法に基づく国家資格者」と説明しています。(日本行政書士会)
行政書士が扱う書類
行政書士が扱う書類は、大きく分けると次の3つです。
官公署に提出する書類
権利義務に関する書類
事実証明に関する書類
官公署に提出する書類とは、国、都道府県、市区町村、警察署などに提出する許認可申請書類などです。日本行政書士会連合会は、行政書士が、官公署に提出する書類の作成、その相談、提出手続の代理を業務としていると説明しています。(日本行政書士会)
権利義務に関する書類とは、契約書、協議書、念書、示談書、内容証明、遺産分割協議書などです。これらは、お金の支払い、財産の分け方、約束ごと、権利の発生や変更を記録する書類です。(日本行政書士会)
事実証明に関する書類とは、一定の事実を確認し、説明するための書類です。議事録、申述書、各種図面、会計書類などがこれにあたります。(日本行政書士会)
離婚で行政書士ができること
離婚の場面で行政書士が扱う中心は、離婚協議書や公正証書にするための原案作成です。
夫婦で話し合い、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割、親子交流、住まい、住宅ローンなどについて合意した場合、その内容を後で確認できる書面に整えます。
離婚届を出せば、夫婦関係は終わります。
しかし、離婚届だけでは、お金の支払い、子どもの生活、財産の分け方、将来の約束は残りません。
そのため、離婚後に支払いが続く場合や、財産分与・慰謝料・養育費の約束がある場合は、離婚協議書や公正証書を作っておくことが重要です。
離婚協議書で決めること
離婚協議書では、主に次の内容を整理します。
養育費の金額、支払日、支払期間、振込先
財産分与の内容、金額、支払期限、支払方法
慰謝料や解決金の金額、支払方法
年金分割の合意
親子交流の方法
住まい、住宅ローン、車、保険、荷物の扱い
清算条項
これらを口約束のままにすると、後で「言った」「言わない」の問題になりやすくなります。
特に養育費や分割払いの約束は、金額、支払日、終了時期、振込先を具体的に書く必要があります。
公正証書にする意味
養育費、分割払いの財産分与、慰謝料など、将来にわたってお金の支払いが続く約束は、公正証書にすることを検討します。
強制執行認諾文言付き公正証書にしておくと、支払いが滞った場合に、あらためて裁判をしなくても強制執行を申し立てることができる場合があります。
行政書士は、公証役場で公正証書を作る前に、夫婦で決めた内容を整理し、公正証書の原案を作成する支援を行います。
公正証書そのものは、公証人が作成する公文書です。
行政書士が行うのは、その前段階で、約束ごとを法律文書として使える形に整えることです。
行政書士ができないこと
行政書士は、弁護士ではありません。
相手方との交渉代理、親権争い、慰謝料請求の代理、財産分与の争いの代理、調停や裁判の代理はできません。
相手が離婚に応じない場合、慰謝料や財産分与の金額で争っている場合、親権や監護で対立している場合、DVや脅しがある場合は、弁護士へ相談する場面です。
行政書士ができるのは、夫婦で合意できている内容、または合意できる見込みのある内容を、離婚協議書や公正証書原案として書面に整えることです。
他の法律で制限されている業務は、行政書士が行うことはできません。日本行政書士会連合会も、行政書士の業務について「他の法律において制限されているものについては、業務を行うことはできません」と説明しています。(日本行政書士会)
特定行政書士の業務
行政不服申立ての代理は、すべての行政書士が当然にできる業務ではありません。
日本行政書士会連合会が定める研修を修了した特定行政書士は、行政書士が作成できる官公署提出書類に係る許認可等について、審査請求、再審査請求などの行政不服申立て手続を代理できる場合があります。(日本行政書士会)
離婚協議書や公正証書作成の相談とは、業務の性質が異なります。
行政書士法改正で明確になった使命
令和8年1月1日施行の行政書士法改正により、行政書士法第1条は「行政書士の使命」を定める規定になりました。
行政書士は、その業務を通じて、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、国民の利便に資し、国民の権利利益の実現に資することを使命としています。(e-Gov 法令検索)
また、改正後の行政書士法では、行政書士の職責も明確になっています。
行政書士は、常に品位を保持し、業務に関する法令と実務に精通し、公正かつ誠実に業務を行うことが求められています。さらに、デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術の活用などにより、国民の利便向上と業務の改善進歩を図るよう努めることも定められています。
書類を作るだけではなく、後で困りにくい形に整える
行政書士の仕事は、単に文字を入力することではありません。
約束ごとの内容を確認し、あいまいな部分をなくし、後で確認できる形に整えることです。
離婚の場面では、次のようなあいまいな約束が後で問題になります。
払えるときに払う
子どもが自立するまで払う
必要になったら相談する
家はそのまま使わせる
財産は半分にする
今後は何も請求しない
一見すると分かりやすい言葉でも、法律文書としては不十分なことがあります。
いつ、いくら、誰が、どの方法で、いつまで支払うのか。
どの財産を、誰が、どの時期に取得するのか。
支払いが遅れた場合にどうするのか。
ここまで決めて、初めて書面として使いやすくなります。
木下行政書士事務所で扱うこと
木下行政書士事務所では、協議離婚に関するお金の約束ごとを法律文書として作成します。
中心になるのは、離婚協議書と離婚公正証書です。
養育費、財産分与、慰謝料、年金分割、親子交流、住まい、住宅ローン、清算条項など、離婚後に揉めやすい内容を、書面で確認できる形に整えます。
一方で、相手方との交渉、夫婦の仲裁、親権争い、調停や裁判の代理、DV案件の直接交渉は行いません。
争いがある場合は、弁護士へ相談する必要があります。
不動産登記が必要な場合は司法書士へ、税金の確認が必要な場合は税理士へつなぐことがあります。
まとめ
行政書士は、行政書士法に基づく国家資格者です。
官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類を作成し、その相談や提出手続の代理を行います。
離婚の場面では、夫婦で決めた養育費、財産分与、慰謝料、年金分割、親子交流などの約束を、離婚協議書や公正証書原案として整えることが中心です。
行政書士は、相手方との交渉や調停・裁判の代理はできません。
夫婦で合意した内容を、後で確認できる法律文書にすること。
それが、離婚の場面における行政書士の役割です。
