離婚交渉、LINE連絡が続かない話

離婚の話は進んでいました。
財産のことも、養育費のことも、一度は話題に出ていました。
条件として整理しようとしていました。

でも、途中で止まりました。

養育費の金額が問題ではありませんでした。
支払うかどうかの話でもありませんでした。
連絡そのものが続かなかったんです。

その方は言いました。
「お金の前に、連絡ができなくなりました。」

LINEを開く。書きかけて消す。
既読がつくのが怖い。返信が来るのも怖い。
気づけば、何も送らなくなっていました。

ある日のことです。スマホを手に取る。
トーク画面を開く。文字を打つ。
打った文字を、全部消す。画面を閉じる。

それが一度ではありませんでした。
翌日も同じでした。その次の日も同じでした。
開いて、やめる。開かない日が増えていく。
気づけば、連絡をしていない日が普通になっていました。

何も起きていません。誰にも知られていません。
でも、何かが進まなかった日が、何日も積み重なっていきます。

養育費は金額の問題に見えます。
でも実際には、前提があります。
連絡が取れること。状況が共有できること。最低限のやり取りが続くこと。
その前提が崩れると、金額は決まりません。
決める場そのものが動かなくなります。

「金額の話はできると思っていました。でも、メッセージを送るだけで疲れてしまうんです。何を送っても、余計なことを言った気がしてしまうんです。だから、何も送らなくなりました。」

連絡が止まると、話し合いは止まります。
話し合いが止まると、養育費は決まりません。
養育費が決まらないと、関係は宙に浮きます。

止まっているのは、金額ではありません。連絡の構造です。

多くの人は「話し合いを再開しないといけない」と考えます。でも現実には、再開以前の段階で止まっています。送れない。返ってくるのが怖い。どこから話せばいいか分からない。この状態では、条件は進みません。

「養育費の話はしたいと思っていました。でも、LINEを開いた時点で手が止まります。一言目が出ないんです。」

一度止まった連絡は、自然には戻りません。
時間が解決することもありません。
この状態が続くと、養育費の話が進まない、生活の見通しが立たない、相手との距離だけが広がる、ということが同時に起きます。
そして、どちらも動けなくなります。

「お金の話より、メッセージ一通の方が重かったです。何を送るかではなく、送れるかどうかで止まっていました。」

連絡は、本人同士で戻そうとするほど、戻りにくくなることがあります。
間に人を挟むことで、初めて動き出す連絡もあります。

LINEで直接やり取りする形を、書面でやり取りする形に変える。
それだけで、連絡は止まったままでも前に進むようになります。

LINEを開けるかどうかは、もう関係がありません。
開かない日が続いても、話は止まりません。

止まっていた連絡は、形を変えた時点で、もう動き出しています。

名もなきものは漂います。
名を持つことで鎮まります。
書が、それを綴じる。

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