離婚後の生活で、最初に大きく変わるのは住まいです。
離婚条件を決めるとき、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割には目が向きやすいです。
一方で、離婚後にどこで暮らすのか、毎月いくら住居費がかかるのかは、後回しになりがちです。
しかし、住まいは生活費の中心です。
住まいを決めないまま離婚条件を決めると、離婚後の生活が苦しくなることがあります。
離婚後の親権者の住まい
| 女性 | 男性 | |
|---|---|---|
| 転居した | 66% | 27% |
| 転居しない | 33% | 71% |
| 賃貸住宅 | 55% | 25% |
| 親の実家 | 27% | 28% |
| 持ち家 | 11% | 41% |
| 給与住宅 | 1% | 4% |
表から見える傾向
この表を見ると、離婚後の住まいは男女で大きく違います。
女性は、離婚後に転居する割合が高く、賃貸住宅で生活を始める割合も高くなっています。
一方、男性は、転居せず、持ち家に住み続ける割合が高くなっています。
つまり、離婚後の生活では、女性側に住まいの変化が集中しやすいということです。
住まいが変わると、家賃だけでなく、敷金、礼金、引っ越し費用、家電、家具、通学や通勤の交通費も変わります。
子どもがいる場合は、学校、保育園、学童、通院先、親子交流の場所も関係します。
離婚後の生活費は、単に「毎月いくら必要か」だけでは決まりません。
どこに住むかで、必要なお金が大きく変わります。
問題点は、住まいの費用が後回しになること
離婚の話し合いでは、養育費の月額や財産分与の金額が先に話題になります。
しかし、住まいが決まっていないまま養育費や財産分与を決めると、生活費の見通しが甘くなります。
たとえば、賃貸住宅に移る場合、最初にまとまった費用が必要です。
毎月の家賃も発生します。
子どもを連れて転居する場合は、生活用品の買い替えも必要になります。
これらを考えずに離婚協議書を作ると、書面上は合意できても、実際の生活が苦しくなることがあります。
また、夫婦の一方が持ち家に住み続ける場合も注意が必要です。
その家に誰が住むのか。
住宅ローンは誰が払うのか。
不動産の名義をどうするのか。
財産分与でどう評価するのか。
こうした点を曖昧にすると、後で揉める原因になります。
親の実家に戻る場合の注意点
表では、親の実家に戻る割合は、女性も男性も大きな差はありません。
親の実家に戻ると、家賃負担を抑えられることがあります。
子どもの世話を親に頼れる場合もあります。
ただし、親の実家に戻ることは、生活費がゼロになるという意味ではありません。
親への生活費の負担。
子どもの通学や送迎。
親との同居による生活ルール。
将来また転居する可能性。
こうした点も考えておく必要があります。
実家に戻ることは、一時的には助けになります。
しかし、離婚後の生活設計としては、いつまで実家に住むのか、その後どうするのかも考えておいた方がよいです。
離婚前に確認すること
離婚後の住まいについては、離婚前に次の点を確認しておくことが大切です。
離婚後にどこへ住むのか
転居する場合、初期費用はいくらか
毎月の家賃はいくらか
子どもの学校や保育園はどうなるか
通勤や送迎に無理はないか
持ち家に住み続ける人は誰か
住宅ローンは誰が払うのか
不動産を財産分与でどう扱うのか
実家に戻る場合、生活費をどう負担するのか
これらは、養育費や財産分与と切り離して考えるものではありません。
住まいが変われば、必要な生活費も変わります。
生活費が変われば、離婚条件の決め方も変わります。
離婚協議書や公正証書に残すこと
住まいに関係する約束ごとは、口約束にしない方がよいです。
家を出る時期。
引っ越し費用の負担。
家財道具の分け方。
住宅ローンの支払い。
不動産の名義変更。
賃貸契約の名義。
子どもの住所変更。
親子交流の場所。
こうした内容は、後から確認できる形にしておく必要があります。
離婚協議書や公正証書には、養育費や財産分与だけでなく、住まいに関係する約束ごとも入れることがあります。
ただし、不動産の名義変更は司法書士の業務です。
住宅ローンの扱いは、金融機関との確認が必要です。
行政書士ができるのは、夫婦で合意した内容を離婚協議書や公正証書にするための文案作成と、公証役場との段取りです。
傾向と対策
離婚後の生活では、住まいの変化が一方に集中しやすい傾向があります。
特に、子どもを連れて生活を始める側は、住まい、家賃、引っ越し費用、生活用品、通学、送迎まで考える必要があります。
対策は、離婚条件を決める前に、離婚後の住まいと生活費を先に見える形にすることです。
養育費だけを決める。
財産分与だけを決める。
慰謝料だけを決める。
これでは足りません。
離婚後にどこで暮らすのか。
毎月いくら必要なのか。
最初にいくら必要なのか。
誰がどの費用を負担するのか。
ここまで整理したうえで、離婚協議書や公正証書にすることが大切です。
