離婚を考えるときは、「もう嫌だ」という気持ちだけで決めると、離婚後の生活で困ることがあります。
一方で、暴力、脅し、強い支配、生活費を渡さない、不貞、借金の隠しごとなどがある場合は、我慢を続けることが正しいとは限りません。
このページでは、離婚するべきかどうかを考えるために、六つの面から今の夫婦関係を確認します。
これは、離婚をすすめるための診断ではありません。
夫婦関係を戻せる可能性があるのか。
別居や相談を先に考えるべきなのか。
離婚条件を具体的に整理する段階なのか。
その判断材料を分けるための確認項目です。
令和8年4月1日施行の民法等改正では、父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、子どもの人格を尊重し、子どもを養育する責務を負うことが明確にされています。離婚を考える場合も、子どもがいるときは、夫婦の感情だけでなく、子どもの生活、養育費、親権、親子交流を分けて考える必要があります。(法務省)
夫婦として大切にされているか
夫婦は、同じ家にいるだけでは成り立ちません。
言葉、態度、生活の中の小さな配慮がなくなると、相手は「自分は家族ではなく、ただの世話係になっている」と感じやすくなります。
次の項目が多く当てはまる場合は、夫婦としての関係がかなり薄くなっている可能性があります。
□ 愛情や感謝の言葉を何年も聞いていない
□ 食事や家事をしても、当然のように扱われる
□ 新しい服や髪型に気づかれない
□ 配偶者を人前で軽く扱う言い方をされる
□ 二人で外食や外出をすることがほとんどない
□ 二人でいても会話がない
□ 家庭や子どもの話をすると嫌な顔をされる
□ 体調が悪いときにいたわる態度がない
□ 夫婦生活が長く途絶えている
□ 誕生日や結婚記念日を大切にされない
□ 自分の話を聞いてもらえない
□ 配偶者より仕事、趣味、友人関係が常に優先される
この項目が多い場合、すぐに離婚と決めるのではなく、まず「自分が何に傷ついているのか」を言葉にする必要があります。
相手に改善の意思があり、具体的な行動が変わるなら、関係を見直す余地があります。
一方で、何度伝えても軽く扱われる状態が続く場合は、離婚後の生活設計を考え始める段階です。
家事や育児が一方に偏っていないか
家事や育児は、誰か一人が当然に背負うものではありません。
令和の離婚相談では、「浮気をされた」「暴力を受けた」という明確な理由だけでなく、長年の家事、育児、介護、生活管理の偏りが限界になっているケースも多くあります。
次の項目が多く当てはまる場合は、家庭の負担が一方に集中している可能性があります。
□ 配偶者が自分の衣類や日用品の場所を知らない
□ 洗濯、掃除、食事の準備が一方に偏っている
□ 子どもの予定、学校、病院、習い事を一方だけが管理している
□ ゴミ出しや分別のルールを配偶者が知らない
□ 家の中が汚れていても、配偶者は気にしない
□ 体調が悪くても家事を代わってもらえない
□ 子育てを「手伝う」という感覚で見られている
□ 冠婚葬祭や親族対応を一方だけが担っている
□ 家計管理、支払い、手続きが一方に偏っている
□ 配偶者が家のことを聞かれても答えられない
□ 家事や育児の負担を伝えると不機嫌になる
□ 共働きでも家庭内の負担が変わらない
この項目が多い場合は、夫婦関係だけでなく、生活運営そのものが不公平になっています。
離婚を考える前に、家事、育児、家計、親族対応を紙に書き出すと、何が偏っているかが見えやすくなります。
分担を話し合っても変わらない場合は、別居後、離婚後に自分が担う範囲と、相手に求めるお金の条件を整理する必要があります。
不貞や異性関係の不信があるか
不貞行為は、民法770条で裁判上の離婚原因の一つとされています。法律上問題になる不貞行為は、単なる好意や親しい連絡ではなく、配偶者以外の人との性的関係を中心に判断されます。(e-Gov 法令検索)
ただし、実際の相談では、性的関係の証拠がある前から、生活の変化として不信感が出ます。
次の項目が多く当てはまる場合は、事実確認と証拠整理が必要です。
□ スマートフォンを急に見せなくなった
□ 通知を消すようになった
□ 帰宅時間が不自然に遅くなった
□ 外泊や出張が増えた
□ 休日の予定を詳しく言わなくなった
□ 服装や下着、髪型に急に気を使い始めた
□ 香水や見慣れない匂いをつけて帰ることがある
□ クレジットカードや電子決済の明細を隠す
□ 車内や持ち物に見慣れない物がある
□ 特定の相手との連絡を隠している
□ 夫婦生活を避けるようになった
□ 問いかけると過度に怒る、または話をそらす
不貞を疑う場合でも、相手のスマートフォンへ無断でログインする、GPSを無断で取り付ける、職場へ探りを入れる、SNSに書くといった方法は避けるべきです。
必要なのは、相手を追い詰めることではありません。
いつから、どのような変化があり、どの資料で確認できるのかを時系列で整理することです。
お金の不安があるか
離婚を考えるとき、お金の問題は必ず整理します。
収入、預貯金、借金、住宅ローン、保険、車、クレジットカード、子どもの教育費が見えていないと、離婚後の生活設計ができません。
次の項目が多く当てはまる場合は、家計や財産の確認が必要です。
□ 通帳やカード明細を見せたがらない
□ 郵便物を先に回収して隠すことがある
□ クレジットカードやローンが多い
□ 消費者金融やカードローンの利用が疑われる
□ 親族や友人から借金している
□ 高額な買い物が増えた
□ ギャンブルや投資でお金を使っている
□ 家計に入るお金が減っている
□ 生活費を渡さない、または急に減らす
□ 税金、保険料、住宅ローンの滞納が心配
□ 保険や預金を解約している
□ 自分名義で借金や保証を求められたことがある
お金の不安がある場合は、離婚を切り出す前に、資料を確認します。
通帳、給与明細、源泉徴収票、確定申告書、保険証券、住宅ローン資料、カード明細、不動産資料を整理します。
財産分与、婚姻費用、養育費は、感情ではなく数字で決まります。
不安が強いほど、先に資料を集めておくことが大切です。
暴力・支配・恐怖があるか
暴力や支配がある場合は、夫婦関係の修復より、安全確保を先に考えます。
暴力は、殴る、蹴るだけではありません。
怒鳴る、物を壊す、脅す、行動を監視する、交友関係を制限する、生活費を渡さない、性的行為を強要することも問題になります。
内閣府は、携帯電話の着信履歴やメールをチェックする、無視する、怒鳴る、責める、脅す、無理やり性的な行為をすることなども、DVの例として挙げています。(政府オンライン)
次の項目がある場合は、離婚判断の前に、相談と安全確保を考えてください。
□ 殴る、蹴る、物を投げることがある
□ 子どもに暴力を振るうことがある
□ 怒鳴る、威圧する、長時間責め続ける
□ 物を壊して怖がらせる
□ 外出や交友関係を制限する
□ スマートフォンやメールを監視する
□ 生活費を渡さない
□ 性的な行為を断れない空気がある
□ 別れたら何をするか分からないと感じる
□ 配偶者の機嫌を損ねないよう常に気を使っている
□ 子どもが親の顔色をうかがっている
□ 家にいると安心できない
この項目に当てはまる場合は、話し合いだけで解決しようとしない方がよい場合があります。
暴力や強い支配がある相手に、離婚の話を直接切り出すと危険が増すことがあります。
警察、配偶者暴力相談支援センター、弁護士、自治体の相談窓口など、外部の支援を先に確認してください。
一人の人間として尊重されているか
離婚を考える根本には、「この結婚の中で、自分が一人の人間として扱われているか」という問題があります。
家事をしているか。
お金を稼いでいるか。
子どもを育てているか。
それだけではありません。
自分の考え、体調、仕事、親、趣味、将来が、相手に尊重されているかが大切です。
次の項目が多く当てはまる場合は、夫婦関係の土台が弱くなっています。
□ 病気のときに心配されず、迷惑そうにされる
□ 自分の話を落ち着いて聞いてもらえない
□ 実家や親族を軽く扱われる
□ 趣味や仕事を応援されたことがない
□ 好きなものや大切にしているものを知られていない
□ 誕生日や大切な日を忘れられている
□ 努力してもほめられない
□ 人前でけなされる
□ 意見を言うと否定される
□ 何かを決めるとき、自分の希望を聞かれない
□ 将来の話し合いができない
□ このまま年を重ねることに強い不安がある
夫婦関係は、片方が我慢を続けることで成り立つものではありません。
自分が人として尊重されていない状態が続くと、生活は保てても、気持ちは少しずつ消耗します。
離婚するかどうかを急いで決める前に、「何があれば続けられるのか」「何が変わらなければ無理なのか」を分けて考える必要があります。
六つの確認項目の見方
当てはまる項目が多いからといって、すぐに離婚すべきとは限りません。
ただし、次のような場合は、早めに専門家へ相談する段階です。
暴力や脅しがある
生活費を渡されていない
子どもに悪影響が出ている
不貞の証拠がある
借金や財産隠しが疑われる
別居を考えている
離婚条件を話し合う必要がある
相手が離婚を拒んでいる
配偶者から離婚を求められている
離婚するかどうかの判断と、離婚条件の整理は別です。
気持ちの整理だけで離婚を進めると、養育費、財産分与、年金分割、住まい、親子交流で困ることがあります。
まずは、次の順番で整理します。
今の生活で何が起きているか
証拠や資料として残っているものは何か
子どもの生活をどう守るか
離婚後の収入と住まいをどうするか
財産分与、養育費、慰謝料、年金分割をどうするか
離婚協議書や公正証書にする必要があるか
まとめ
離婚は、感情だけで決めると危険です。
一方で、我慢だけで続けることも危険です。
令和の離婚では、夫婦のどちらが正しいかだけでなく、子どもの生活、家計、住まい、仕事、親子交流、将来の支払いまで含めて考える必要があります。
この六つの確認項目は、離婚を決めるための点数表ではありません。
夫婦関係を見直す余地があるのか。
別居や安全確保を先に考えるべきなのか。
離婚条件を具体的に整理する段階なのか。
その見極めのために使うものです。
