配偶者から突然、離婚を切り出されることがあります。
急に別居したいと言われる。
離婚届を出してほしいと言われる。
弁護士から通知が届く。
生活費を止めると言われる。
子どもを連れて家を出ると言われる。
このような場面では、動揺して当然です。ただし、最初の対応を間違えると、後の話し合いが難しくなることがあります。
大切なのは、感情で返事をしないことです。まず、相手が何を求めているのか、自分は何に同意できて、何に同意できないのかを分けて整理します。
まず確認すること
突然の話を受けたときは、すぐに結論を出す必要はありません。
まず確認することは、次の4つです。
相手が何を求めているのか
いつまでに返事を求めているのか
子どもや生活費に関する希望はあるのか
自分が何に同意できないのか
離婚そのものに同意できないのか。
離婚には応じてもよいが、条件に同意できないのか。
子どものことが決まっていないのか。
お金のことが決まっていないのか。
ここを分けずに話すと、話し合いの焦点がずれていきます。
すぐに署名しない
離婚届、合意書、念書、誓約書などを出された場合でも、その場で署名しない方がよいです。
一度署名すると、後から内容を変えることが難しくなる場合があります。
特に、次の内容が含まれている場合は注意が必要です。
養育費
財産分与
慰謝料
親権・監護
親子交流
年金分割
住まい
住宅ローン
清算条項
「後で決めればよい」と言われても、離婚届を出した後は相手が話し合いに応じなくなることがあります。
離婚するかどうかを決める前に、離婚後のお金、子ども、住まいを確認しておく必要があります。
離婚の方法を知っておく
離婚には、主に協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。
協議離婚は、夫婦が話し合いで離婚に合意する方法です。
調停離婚は、家庭裁判所の調停で話し合う方法です。
裁判離婚は、調停でもまとまらない場合に、裁判で離婚を求める方法です。
相手が離婚したいと言っていても、自分が同意しなければ協議離婚は成立しません。
ただし、裁判で離婚が認められる事情がある場合は、最終的に離婚が認められる可能性があります。現在の民法770条では、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、その他婚姻を継続し難い重大な事由が、裁判上の離婚原因として定められています。e-Gov法令検索・民法 (e-Gov 法令検索)
問題点を分ける
離婚の話し合いでは、問題を一つにまとめないことが大切です。
離婚するかどうか
別居するかどうか
生活費をどうするか
子どもと誰が暮らすか
養育費をどうするか
親子交流をどうするか
財産をどう分けるか
慰謝料を請求するか
年金分割をするか
住まいをどうするか
同じ離婚の話でも、これらは別の問題です。
離婚には同意できないが、別居中の生活費は決める必要がある場合があります。
離婚には同意できても、養育費や財産分与が決まらなければ離婚届を出さない方がよい場合もあります。
相手の要求を整理する
相手の要求は、言葉のまま受け取るだけでは足りません。
何を求めているのか。
なぜ求めているのか。
本当に急ぐ必要があるのか。
どの条件が譲れないのか。
どの条件は話し合えるのか。
ここを確認します。
相手が「もう無理」と言っていても、実際には離婚そのものより、別居、生活費、子どもの関わり方を先に決めたい場合があります。
逆に、相手が穏やかに話していても、すでに弁護士相談や調停申立てを準備している場合もあります。
相手の気持ちだけでなく、相手の行動も確認します。
自分の希望を整理する
相手の要求を確認したら、自分の希望も分けて書き出します。
離婚したくないのか
離婚するなら条件を決めたいのか
子どもと一緒に暮らしたいのか
住まいをどうしたいのか
生活費をどう確保するのか
財産分与をどう考えるのか
慰謝料を請求するのか
親子交流をどうするのか
ここで大切なのは、「全部嫌だ」で終わらせないことです。
何に同意できるのか。
何は保留するのか。
何は絶対に同意できないのか。
この3つに分けると、話し合いの形が見えてきます。
落としどころを3段階で考える
離婚の話し合いでは、最初から一つの結論だけに絞らない方がよいです。
落としどころは、3段階で考えます。
希望する条件
受け入れられる条件
これ以下では同意できない条件
たとえば、養育費、財産分与、住まい、親子交流について、それぞれ3段階で考えます。
希望する条件だけを出すと、話し合いが止まりやすくなります。
一方で、最初からすべて譲ると、後で生活が苦しくなります。
自分にとって守るべき線を決め、そのうえで譲れる部分を考えます。
話し合いの場所を決める
話し合いをする場合は、場所も大切です。
冷静に話せる状態であれば、自宅で話すこともあります。
ただし、相手方の親族や第三者が同席する場合は、自宅ではなく、外の場所を検討した方がよいです。
感情的になりやすい場合、長時間の話し合いになりそうな場合、相手が強い口調で迫る場合も、外の場所や第三者を入れた場を考えます。
暴力、脅し、強い支配、DVのおそれがある場合は、二人だけで会わないでください。
その場合は、弁護士、警察、DV相談窓口、家庭裁判所などへの相談を優先します。
話し合いで確認すること
話し合いでは、相手を説得する前に、事実を確認します。
なぜ離婚したいのか
いつから考えていたのか
別居する予定があるのか
生活費をどう考えているのか
子どもについてどう考えているのか
財産分与をどう考えているのか
慰謝料の主張があるのか
離婚届をいつ出したいのか
公正証書を作る考えがあるのか
相手の話を聞くことと、相手の要求に同意することは別です。
聞いたうえで、同意できること、保留すること、同意できないことを分けます。
記録を残す
突然の離婚話では、後から「言った」「言わない」になりやすいです。
そのため、話し合いの内容は記録に残します。
話し合った日
場所
参加者
相手の要求
自分の返答
決まったこと
保留したこと
次回確認すること
感情的な日記ではなく、事実の記録として残します。
メールやメッセージでやり取りした場合は、削除せず保存します。
離婚したくない場合
離婚したくない場合でも、相手に裁判上の離婚原因があるかどうかを確認する必要があります。
相手が離婚を求めても、自分が同意しなければ協議離婚はできません。
ただし、夫婦関係がすでに回復しがたい程度に破綻している場合は、調停や裁判へ進む可能性があります。
離婚したくない場合は、相手を責めるだけでは話が進みません。
相手が何に耐えられなくなっているのか。
自分に改める点があるのか。
生活費、家事、育児、親族関係、仕事、異性関係で問題があるのか。
修復の余地があるのか。
ここを冷静に確認します。
ただし、関係修復を望む場合でも、生活費、子ども、別居の条件を決める必要が出ることがあります。
離婚する方向で考える場合
離婚する方向で考える場合は、離婚届を急ぐより、条件を先に整理します。
特に確認するのは、次の内容です。
親権・監護
養育費
親子交流
財産分与
慰謝料
年金分割
住まい
住宅ローン
婚姻費用
清算条項
支払いが続く約束がある場合は、離婚協議書や公正証書に残すことを考えます。
口約束だけで離婚届を出すと、後で支払いが止まったり、条件を確認できなくなったりすることがあります。
専門家に相談する場面
次のような場合は、自分だけで進めない方がよいです。
相手に弁護士が付いた
離婚届への署名を迫られている
子どもを連れて出ると言われた
生活費を止めると言われた
財産を隠されている
不貞や暴力の主張がある
慰謝料を請求されている
住宅ローンが残っている
公正証書を作る必要がある
相手と冷静に話せない
代理交渉や調停、裁判が必要な場合は、弁護士に相談する場面です。
一方で、夫婦で条件を整理できる場合は、離婚協議書や公正証書にするための文案を作ることが問題になります。
まとめ
突然離婚を切り出されたときは、すぐに答えを出さないことが大切です。
まず、相手の要求、自分の希望、子どものこと、お金のこと、住まいのことを分けて整理します。
離婚に同意するかどうかと、離婚条件に同意するかどうかは別です。
感情的に返事をしたり、その場で署名したりすると、後から修正しにくくなることがあります。
話し合いをする場合は、記録を残し、同意できること、保留すること、同意できないことを分けます。
離婚する場合でも、離婚しない場合でも、生活費、子ども、お金、住まいの問題は残ります。
突然の事態ほど、最初に全体を整理し、必要な約束ごとを文書に残せる形にしておくことが大切です。
