夫婦で求めているものの違い|すれ違いの理由を言葉にする【長崎コラム】

離婚を考えるほど関係が悪くなった夫婦でも、最初から相手を傷つけようとしていたとは限りません。

多くの場合、問題は「自分は十分にやっている」と思っていることと、相手が本当に求めていることがずれている点にあります。

家計を支えている。家事をしている。子育てをしている。親族づきあいをしている。本人にとっては大きな負担でも、相手が求めている形と違っていれば、感謝ではなく不満として受け取られることがあります。

目次

夫婦で起きやすいすれ違い

夫婦関係で起きやすいすれ違いは、性別だけで決まるものではありません。

ただし、相談の現場では、次のような希望のずれがよく見られます。

相手に愛情を言葉で示してほしい
話を聞いてほしい
家事や育児を一緒に担ってほしい
経済的な見通しを共有してほしい
家族の時間を作ってほしい
夫婦として見てほしい
自分を認めてほしい
外見や努力に気づいてほしい
親族より自分の気持ちを大事にしてほしい
夫婦生活について避けずに向き合ってほしい

これらは、どちらか一方だけの欲求ではありません。

夫にも妻にもあります。

問題は、相手が何を求めているのかを確認しないまま、「自分はこれだけやっている」と考えてしまうことです。

愛情表現のずれ

夫婦関係では、愛情があるかどうかよりも、愛情が相手に伝わっているかが問題になります。

働いているから伝わっているはず。家事をしているから伝わっているはず。子どものことを考えているから伝わっているはず。そう思っていても、相手には伝わっていないことがあります。

「ありがとう」「助かっている」「大事に思っている」という言葉が何年もないと、相手は自分の存在が当然のものとして扱われていると感じます。

反対に、言葉はあっても、家事や育児、家計、親族対応を一方に任せたままであれば、言葉だけに聞こえます。

愛情表現は、言葉と行動の両方で見られます。

会話のずれ

夫婦の会話は、用件だけでは足りません。

今日の予定、子どもの送迎、支払い、買い物、学校の提出物だけを話していると、夫婦ではなく、生活管理の担当者同士のようになります。

一方で、話し合いをしようとしても、相手がすぐに結論を出そうとしたり、正しさで返したりすると、話した側は聞いてもらえなかったと感じます。

夫婦関係を戻したいなら、相手の話を途中で修正しないことが必要です。

まず聞く。
何に困っているのかを確認する。
自分に求められていることを聞く。
そのうえで、自分の考えを伝える。

この順番が崩れると、話し合いは説得や反論になります。

家事と育児のずれ

令和の夫婦関係では、家事や育児を「手伝う」という感覚のままでは通りにくくなっています。

家事も育児も、家庭を成り立たせるための共同作業です。

食事を作ることだけが家事ではありません。

献立を考える。買い物をする。冷蔵庫を確認する。子どもの予定を見る。学校からの連絡を読む。病院を予約する。親族への連絡をする。支払いを忘れないようにする。

こうした見えにくい作業が、一方に偏っていることがあります。

相手が「何もしてくれない」と言うとき、それは目に見える作業だけでなく、頭の中で抱えている段取りまで含んでいる場合があります。

お金のずれ

お金の問題は、夫婦関係に直結します。

収入が多いか少ないかだけではありません。

家計を見せているか。
貯金額を共有しているか。
借金やローンを隠していないか。
自分の趣味や交際費を優先していないか。
教育費や老後資金について話しているか。

ここが見えないと、相手は安心できません。

一方が「自分が稼いでいる」と考え、もう一方が「自分が家庭を回している」と考えると、お金は感謝ではなく不満の原因になります。

家計は、どちらか一方が支配するものではありません。

夫婦が同じ生活をしている以上、お金の見通しは共有する必要があります。

夫婦生活のずれ

夫婦生活の問題は、話しにくい分、長く放置されやすい問題です。

求める側は、拒まれたことで自分を否定されたように感じることがあります。

応じられない側は、体調、疲労、気持ち、過去の傷つき、家事や育児の負担が重なっていることがあります。

どちらかが我慢すれば済む話ではありません。

夫婦生活は、義務として押しつけるものではありません。性的な行為を無理に求めることは、夫婦であっても許されません。

一方で、夫婦生活をめぐる不満をまったく話し合わないままにすると、相手は夫婦として見られていないと感じることがあります。

大切なのは、責めることではなく、話せる形にすることです。

親族とのずれ

夫婦関係では、親や実家との距離も問題になります。

自分の親を大事にすることは自然です。

しかし、配偶者より親の意見を優先し続けると、相手は「自分はこの家の外側に置かれている」と感じます。

また、相手の実家を軽く扱うことも、夫婦関係を傷つけます。

親族の問題は、正しさだけでは片づきません。

どこまで関わるのか。
どの用事を誰が持つのか。
配偶者にどこまで負担させるのか。
親族の意見を夫婦の決定より優先しないか。

ここを決めないと、夫婦の問題ではなく、家同士の問題に広がります。

承認のずれ

夫婦の中で、人は自分を認めてほしいと思っています。

仕事を認めてほしい。
家事を認めてほしい。
子育てを認めてほしい。
我慢してきたことを分かってほしい。
自分の苦労を軽く見ないでほしい。

これを放置すると、相手は外に承認を求めることがあります。

職場、友人、趣味、異性関係、実家、SNSなどです。

外に居場所を求め始めた段階では、夫婦の中で満たされていないものがあります。

そのときに、相手を責めるだけでは戻りません。

夫婦の中で、相手が何を認めてほしかったのかを確認する必要があります。

夫婦関係を戻すために確認すること

夫婦関係を戻したい場合は、相手に何をしてほしいかだけでなく、自分が何を変えるかを決めます。

次の項目を紙に書き出すと、話し合いがしやすくなります。

相手が不満に思っていること
自分が不満に思っていること
すぐに変えられること
時間がかかること
相手に求めること
自分が引き受けること
家計で共有すること
家事や育児で分担すること
親族との距離
夫婦で話す時間
夫婦生活について話し合う必要があること

ここを整理せずに、「これからは大事にする」と言っても、相手は安心できません。

大事なのは、気持ちではなく、生活の中で何が変わるかです。

離婚を考える段階になったとき

夫婦関係のずれが長く続くと、離婚を考える段階に入ります。

その場合も、感情だけで離婚を進めると、後で困ることがあります。

子どもがいる場合は、親権、監護、養育費、親子交流を考えます。

お金の問題がある場合は、財産分与、慰謝料、婚姻費用、年金分割を考えます。

住まいがある場合は、不動産、住宅ローン、名義変更を考えます。

離婚するかどうかと、離婚条件をどう整えるかは別の問題です。

離婚を迷っている段階でも、お金と書面の整理は必要になることがあります。

まとめ

夫婦のすれ違いは、男だから、女だからと単純に分けられるものではありません。

ただし、相手が求めているものと、自分が与えているつもりのものがずれていると、夫婦関係は少しずつ悪くなります。

愛情表現、会話、家事、育児、お金、夫婦生活、親族との距離、承認。

このどれかが長く軽く扱われると、相手は夫婦でいる意味を見失いやすくなります。

夫婦関係を戻したいなら、相手を変えようとする前に、相手が何を求めていたのかを確認します。

離婚を考える段階になったら、感情だけで進めず、子ども、お金、住まい、将来の支払いを整理することが大切です。

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