離婚で使う証拠と資料の整理|裁判で勝つための準備【長崎】

証拠とは、事実を確認するための資料です。

離婚では、何があったのか、いつから夫婦関係が悪くなったのか、別居に至った理由は何か、養育費や財産分与をどう考えるべきかを説明するために、証拠や資料を整理することがあります。

現在の民法770条では、裁判上の離婚原因として、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、その他婚姻を継続し難い重大な事由が定められています。証拠は、これらの事情を説明するために使われます。e-Gov法令検索・民法

目次

証拠はひとつで決まるとは限らない

離婚の証拠は、ひとつだけで結論を決めるものとは限りません。

写真、メッセージ、診断書、通帳、録音、日記、住民票などを組み合わせて、事実の流れを説明します。

たとえば、不貞行為であれば、ホテルへの出入り、宿泊記録、メッセージ、調査会社の報告書などを合わせて見ることがあります。

暴力であれば、診断書、傷の写真、警察や相談窓口への相談記録、録音、日記などが問題になります。

大切なのは、証拠を集めることだけではありません。いつ、何があり、どの資料がそれを裏付けるのかを整理することです。

写真

写真は、出来事を目で確認できる資料です。

不貞行為では、ラブホテルへの出入り、宿泊を伴う行動、親密な様子などが問題になることがあります。

暴力では、けがの写真、壊された物の写真、室内の状況を写した写真などが問題になることがあります。

ただし、写真だけで十分とは限りません。

いつ撮影したのか。
どこで撮影したのか。
誰が写っているのか。
何を示す写真なのか。

この点が分からないと、証拠として使いにくくなります。

調査会社の報告書

不貞行為では、調査会社の報告書が使われることがあります。

たとえば、二人がホテルに入るところ、出てくるところ、宿泊を伴う行動などが、写真付きで記録されている場合です。

ただし、調査会社に依頼すれば必ず有利になるわけではありません。

調査費用が高くなることがあります。
必要な場面を絞らないと費用が増えます。
報告書の内容が不十分な場合もあります。
調査方法に問題があると、別の争いになることがあります。

調査会社を利用する場合は、目的を明確にして、何を証明したいのかを先に整理しておく必要があります。

メッセージ・メール・SNS

メッセージ、メール、SNSのやり取りも資料になります。

不貞行為をうかがわせる内容、暴言、脅し、生活費を払わないという発言、離婚条件に関する発言などが残っている場合があります。

ただし、スクリーンショットだけでは、前後関係が分からないことがあります。

誰とのやり取りか。
いつのやり取りか。
会話の一部だけではないか。
内容が加工されていないか。

この点が問題になることがあります。

保存するときは、日付、相手、前後の流れが分かる形で残しておく方がよいです。

日記・メモ

日記やメモは、出来事の経過を整理するために役立ちます。

不貞を知った日。
暴力を受けた日。
生活費が止まった日。
相手と話し合った日。
子どもの様子が変わった日。
別居に至った経緯。

このような内容を、日付とともに記録します。

ただし、日記やメモは、自分で書いた資料です。そのため、それだけで決定的な証拠になるとは限りません。

診断書、写真、メッセージ、通帳、相談記録などと合わせて、時系列を説明するために使います。

手紙・書面

相手が書いた手紙、メモ、誓約書、念書などは、内容によって重要な資料になります。

不貞を認める内容。
暴力を認める内容。
生活費の支払いを約束する内容。
慰謝料や養育費について約束する内容。
今後接触しないと約束する内容。

このような書面は、後の話し合いや調停で確認資料になることがあります。

ただし、書面の内容があいまいな場合は、後で争いになります。

誰が、誰に対して、何を、いつまでにするのかが分かる形になっているかを確認します。

診断書・受診記録

暴力や精神的な負担が問題になる場合、診断書や受診記録が重要になります。

けがをした場合は、できるだけ早く医療機関を受診し、診断書を取ることを検討します。

精神的な不調がある場合も、通院記録や診断書が、当時の状態を説明する資料になることがあります。

診断書には、けがや症状の内容、受診日、治療内容などが記載されます。

暴力やハラスメントを受けた場合は、写真や日記だけでなく、受診記録も残しておくことが大切です。

録音・録画

録音や録画は、相手の発言や話し合いの様子を確認する資料になることがあります。

暴言。
脅し。
不貞を認める発言。
生活費を払わないという発言。
離婚条件に関する発言。

このような内容が残っている場合、後で事実確認の資料になることがあります。

ただし、録音や録画は、使い方に注意が必要です。

会話全体の流れが分かるか。
一部だけ切り取っていないか。
相手を挑発していないか。
第三者へ不用意に聞かせていないか。

録音を裁判資料として使う場合は、内容を文字に起こした反訳文が必要になることがあります。

戸籍・住民票・登記事項証明書・所得資料

公的書類は、身分関係、住所、財産、収入などを確認する資料になります。

戸籍全部事項証明書
住民票
不動産登記事項証明書
固定資産評価証明書
課税証明書
源泉徴収票
給与明細
確定申告書
通帳
保険証券

これらは、不貞行為そのものを証明する資料ではありません。

ただし、離婚条件を決めるときに必要になります。

財産分与、養育費、婚姻費用、年金分割、住まいの整理では、公的書類や収入資料が重要です。

通帳・カード明細・領収書

お金の流れを確認するためには、通帳、カード明細、領収書が役立ちます。

生活費の支払い。
家賃や住宅ローン。
教育費。
医療費。
不審な支出。
宿泊費や旅行費。
別居後の生活費。

これらを確認すると、婚姻費用、財産分与、養育費、不貞関係の支出などを整理しやすくなります。

通帳や明細は、必要な部分だけを見るのではなく、一定期間を通して確認します。

お金の流れは、1回の支出よりも、継続的な流れが重要になることがあります。

行動の記録

交通系ICカード、ETC利用明細、宿泊記録、位置情報、カレンダー、勤務表なども、行動の記録として問題になることがあります。

ただし、これらは単独では決定的な証拠になりにくいことがあります。

どこへ行ったのか。
誰といたのか。
なぜその場所へ行ったのか。
他の証拠とつながるのか。

この点を確認する必要があります。

行動の記録は、写真、メッセージ、宿泊記録、日記などと組み合わせて意味を持つことがあります。

証拠を集めるときに避けること

証拠を集める場合でも、何をしてもよいわけではありません。

次のような行動は避けるべきです。

相手のスマートフォンを無断で開く
相手のメールやSNSに勝手にログインする
GPSを無断で取り付ける
相手の職場へ押しかける
相手の家族や知人へ言いふらす
SNSに実名や写真を投稿する
性的な画像や動画を保存・拡散する
相手を脅して自白を取ろうとする

他人のIDやパスワードを使ってメールやSNSに入る行為は、不正アクセス禁止法の問題になることがあります。また、性的な画像を第三者に提供したり公然と陳列したりする行為は、別の重大な法的問題につながります。e-Gov法令検索・不正アクセス禁止法e-Gov法令検索・性的姿態撮影等処罰法

相手が悪いとしても、こちらが違法な方法を使えば、後の話し合いや裁判で不利になることがあります。

証拠を整理するときの形

証拠は、集めただけでは使いにくいものです。

時系列にして整理します。

日付
出来事
関係者
残っている資料
その資料で分かること
不足している資料

この形にしておくと、弁護士相談、調停、離婚協議で説明しやすくなります。

不貞行為、暴力、生活費不払い、別居、財産分与、養育費など、テーマごとに分けることも大切です。

離婚協議で使う証拠と裁判で使う証拠

離婚協議では、相手に説明し、条件を整理するために資料を使います。

調停では、調停委員に事情を分かってもらうために資料を使います。

裁判では、主張を裏付ける証拠として資料を提出します。

場面によって、必要な資料の出し方は変わります。

最初からすべてを相手に見せる必要はありません。

どの資料を、いつ、誰に見せるのかは、事案によって考える必要があります。

まとめ

証拠とは、事実を確認するための資料です。

写真、メッセージ、メール、日記、診断書、録音、通帳、公的書類など、さまざまなものが証拠や資料になります。

ただし、証拠は多ければよいというものではありません。

いつ、何があり、どの資料がその事実を裏付けるのかを整理することが大切です。

また、証拠を集める方法にも注意が必要です。

無断ログイン、無断GPS、脅し、SNSでの暴露、性的画像の保存や拡散は、別の法的問題を生むことがあります。

離婚で証拠を整理するときは、感情で集めるのではなく、事実、時系列、資料、離婚条件を分けて確認することが大切です。

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