【長崎】性格の不一致をめぐる離婚判断|性格の違いは離婚理由になるか

性格の不一致は、離婚相談でよく出てくる理由です。

ただし、性格が合わないというだけで、直ちに裁判上の離婚原因になるわけではありません。

現在の民法770条では、裁判上の離婚原因として、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、その他婚姻を継続し難い重大な事由が定められています。性格の不一致は、通常、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」があるかどうかの中で判断されます。e-Gov法令検索・民法 (e-Gov 法令検索)

裁判では、夫婦の性格が違うことだけではなく、同居期間、別居期間、話し合いの経過、夫婦関係の回復可能性、破綻の責任がどちらにあるかなどが見られます。

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性格の不一致をめぐる判断例

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事例別れたい理由別れない理由・反論判断の要点と結果
1妻は、自分は快活であるのに夫は無口であり、対話がなく、気持ちの通い合いもなく、顔を合わせるのも嫌であるとして離婚を求めた。昭和51年婚姻、昭和52年別居夫は、温厚誠実であり、多弁ではないが特に無口ではないとして、一貫して婚姻生活の継続を希望した。また、有責配偶者は妻であると主張した性格の不一致が離婚原因になるかが問題となった。裁判所は、妻の勝気でやや自己中心的とも見える行動も破綻の一因といえなくはないが、双方の精神的不協和が重要な原因であり、妻の絶望感、愛情喪失、双方の考え方の隔絶から関係修復の可能性はないとして、妻の離婚請求を認めた。横浜地裁昭和59年7月30日判決・判例時報1141号114頁
2夫は、生活観、人生観の著しい隔絶を理由に離婚を求めた。夫43歳、新聞記者。昭和33年婚姻、昭和38年別居、昭和39年調停申立て、昭和51年に夫敗訴の控訴審妻は、今でも夫を愛していると主張した。また、仮に婚姻関係が破綻しているとしても、夫に不貞があり、有責配偶者は夫であると主張した。妻45歳、主婦生活観、人生観の隔絶が離婚原因になるかが問題となった。裁判所は、夫が高い水準の知的生活を希望する一方で、妻との生活観・人生観に大きな隔たりがあり、婚姻生活上の口論、妻の発作、睡眠薬の服用などの事情も踏まえ、婚姻関係は完全に破綻しているとして、夫の離婚請求を認めた。東京高裁昭和54年6月21日判決・判例時報937号39頁
3夫は、妻が協調性を欠く性格であるとして離婚を求めた。妻は、夫が理由なく自分を実家に追い出したとして、悪意の遺棄を理由に反訴した。昭和47年婚姻、1年4か月後に不和妻は、嫁入り道具が少ないことを責められるなどの嫁いびりや、実家への追い出しがあったと主張した。また、有責配偶者は夫であると主張した破綻の責任が誰にあるかが問題となった。裁判所は、婚姻関係破綻の責任は夫にあるとして、夫の請求を棄却し、妻の請求を認めた。名古屋地裁一宮支部昭和53年5月26日判決・判例時報937号64頁
4夫は、妻の感情の起伏や奇行を理由に離婚を求めた。夫41歳、大手建設会社幹部職員。妻36歳、塾教師。昭和36年婚姻、昭和49年別居妻は、夫を愛していると主張した。予備的に、夫に異性関係の噂があるとして、自分は悪くなく、有責配偶者は夫であると主張した破綻の程度と責任が問題となった。裁判所は、双方が自己の正当性を主張して意見の一致を見ず、婚姻関係は回復しがたいまでに破綻しているとして、離婚請求を認めた。福岡地裁昭和53年8月10日判決・判例時報937号64頁
5夫は、人一倍几帳面で清潔好きであるのに対し、妻は事務処理能力や整理能力を欠くとして離婚を求めた。夫婦はいずれも医師。同居期間3年、別居期間5年余り妻は、夫の主張する事情は婚姻を継続し難い重大な事由に当たらないなどと主張した性格の相違が婚姻を継続し難い重大な事由に当たるかが問題となった。裁判所は、口論の原因は些細なことではあるが、双方の妥協しがたい性格の相違から婚姻関係の破綻を認定し、夫の離婚請求を認めた。東京地裁昭和59年10月17日判決・判例時報1154号107頁
6医師である夫は、妻が婚姻前に異性関係を有していたこと、嫉妬心が強く傲慢であること、医業に非協力であること、育児能力や財産管理能力に欠けることなどを理由に離婚を求めた。昭和38年婚姻、昭和43年別居妻は、4人の子どもがあり、看護師として精一杯努力していること、子どもと隔離され会わせてもらえないことなどを主張した破綻の程度と責任が問題となった。裁判所は、婚姻関係は破綻に至っておらず、一方的に妻に原因があるわけでもないとした。夫婦の性格は対照的であるが、円満な婚姻生活が期待できないほど偏っているとはいえないとして、夫の離婚請求を棄却した。札幌地裁昭和50年3月27日判決・判例時報798号77頁
7夫は、妻がわがままであり、勝手に実家へ帰ったとして離婚を求めた。昭和43年婚姻、昭和47年別居妻は、夫の家が家風に厳しく、夫の両親の過干渉があり、実家に戻ったのは死産後の養生のためであると主張した破綻の程度と責任が問題となった。裁判所は、妻には何不自由ない生活があったにもかかわらず、夫の両親への感謝の念がなく、夫を責めるのみで反省しようとしないとして、夫の離婚請求を認めた。横浜地裁昭和50年9月11日判決・判例時報811号85頁
8妻は、夫が自己中心的で、妻の心情に思いをはせないとして離婚を求めた夫は、妻に愛情を有し、復帰を強く望んでいること、8歳の長男のためにも離婚に反対であることを主張した婚姻関係が回復しがたい程度まで破綻しているかが問題となった。裁判所は、婚姻関係が回復しがたい程度まで破綻しているとはいえないとして、妻の離婚請求を棄却した。東京高裁昭和52年10月27日判決・判例時報880号31頁

性格の不一致で見られる事情

性格の不一致が問題になる場合、裁判では次のような事情が見られます。

同居期間
別居期間
夫婦間の会話の有無
夫婦関係を修復する意思の有無
不和の原因
生活観や人生観の隔たり
子どもの有無
相手に対する暴力、不貞、悪意の遺棄の有無
夫婦関係が回復できる状態か

性格が違うこと自体は、どの夫婦にもあり得ます。

問題になるのは、その違いによって夫婦としての共同生活が続けられない状態になっているかどうかです。

性格の不一致だけでは足りない場合

「話が合わない」「価値観が違う」「一緒にいて苦しい」という事情があっても、それだけで裁判上の離婚が認められるとは限りません。

同居が続いている。
夫婦関係を戻す余地がある。
別居期間が短い。
子どもへの影響が大きい。
破綻の原因が一方的とはいえない。
離婚を求める側にも大きな責任がある。

このような場合は、性格の不一致を理由にした離婚請求が認められないことがあります。

裁判では、主観的な不満だけではなく、婚姻関係が客観的に破綻しているかが見られます。

性格の不一致で離婚が認められやすい場合

性格の不一致を理由に離婚が認められるには、夫婦関係が回復しがたい状態にあることが重要です。

たとえば、次のような事情が重なる場合です。

長期間の別居がある
話し合いを重ねても改善しない
夫婦としての信頼関係が失われている
相手への愛情が失われている
生活観や人生観の隔たりが大きい
日常生活で強い精神的負担が続いている
夫婦のどちらも婚姻生活を立て直せない状態にある

裁判例でも、単なる不満ではなく、夫婦関係の修復可能性がないと見られる場合に、離婚が認められています。

破綻の責任も見られる

性格の不一致といっても、どちらにも同じ程度の原因があるとは限りません。

一方が相手を実家に追い出した。
一方が不貞をした。
一方が相手の人格を傷つけ続けた。
一方が婚姻生活を放棄した。
親族の過干渉を放置した。

このような事情がある場合は、性格の不一致だけでなく、破綻の責任がどちらにあるかも問題になります。

離婚を求める側に大きな責任がある場合は、有責配偶者からの離婚請求として慎重に判断されることがあります。

性格の不一致と離婚協議

性格の不一致を理由に離婚する場合でも、離婚条件を決める必要があります。

離婚理由だけを話しても、離婚後の生活は決まりません。

協議離婚では、次の内容を整理します。

財産分与
慰謝料の有無
養育費
親権・監護
親子交流
年金分割
住まい
住宅ローン
婚姻費用
清算条項

性格の不一致では、慰謝料が問題にならない場合もあります。

一方で、不貞、暴力、悪意の遺棄、長期間の生活費不払いなどがある場合は、慰謝料が問題になることもあります。

離婚原因と離婚条件は分けて整理する必要があります。

まとめ

性格の不一致は、離婚相談で多い理由です。

しかし、性格が合わないというだけで、常に裁判上の離婚が認められるわけではありません。

裁判では、同居期間、別居期間、夫婦間の会話、生活観や人生観の違い、夫婦関係の修復可能性、破綻の責任などが見られます。

性格の違いによって、夫婦としての共同生活が続けられない状態になっているかどうかが重要です。

離婚を考える場合は、感情だけで進めず、夫婦関係の経過、別居の有無、破綻の原因、離婚後のお金、子ども、住まいを分けて整理することが大切です。

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