不貞行為とは何か?裁判で認められる法律上の定義と基準【長崎】

不貞行為とは、配偶者のある人が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の人と性的関係を持つことです。

民法770条は、裁判上の離婚原因として「配偶者に不貞な行為があったとき」を定めています。現在の民法770条では、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、その他婚姻を継続し難い重大な事由が、裁判上の離婚原因として定められています。e-Gov法令検索・民法 (e-Gov 法令検索)

裁判例では、不貞行為について、配偶者のある人が自由な意思に基づいて配偶者以外の人と性的関係を結ぶことをいうとされています。相手方の自由な意思に基づくものかどうかは問わないとされています。

目次

不貞行為は肉体関係が中心になる

不貞行為という場合、中心になるのは性的関係の有無です。

手をつないだ。
食事に行った。
頻繁に連絡を取っていた。
好意を伝えていた。
二人で会っていた。

このような事情だけでは、直ちに不貞行為といえるとは限りません。

ただし、性的関係そのものを直接証明する証拠がなくても、ホテルへの出入り、宿泊、旅行、メッセージの内容、行動の経過などから、不貞行為が推認されることがあります。

直接の証拠がなくても判断されることがある

不貞行為は、多くの場合、密室で行われます。

そのため、実際の裁判でも、二人が性的関係を持っている場面そのものの証拠が必要になるわけではありません。

たとえば、次のような資料が問題になることがあります。

ラブホテルに出入りする写真
宿泊を伴う旅行の記録
親密なメッセージ
本人が認めた発言
調査会社の報告書
クレジットカードや宿泊施設の利用記録

不貞行為を直接写した証拠でなくても、前後の事情から通常そのような関係があったと考えられる場合には、裁判上の判断材料になります。

不貞行為まで証明できない場合

性的関係まで証明できない場合でも、夫婦関係に大きな影響を与える交際があるときは、別の離婚原因として問題になることがあります。

現在の民法770条では、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」が裁判上の離婚原因として定められています。性的関係そのものを立証できない場合でも、交際の内容、頻度、隠し方、配偶者への説明、夫婦関係への影響によっては、婚姻を継続し難い重大な事由として問題になることがあります。(e-Gov 法令検索)

問題になるのは、単なる疑いではありません。

その交際によって夫婦の信頼関係が壊れ、共同生活を続けることが難しくなっているかどうかです。

浮気か本気かは決め手ではない

不貞行為に当たるかどうかは、遊びだったか、本気だったかだけで決まるものではありません。

一時的な関係であっても、性的関係があれば不貞行為として問題になります。

反対に、気持ちは本気だったとしても、性的関係の立証ができない場合には、不貞行為としてではなく、婚姻を継続し難い重大な事由として問題になることがあります。

「本気ではなかった」
「一度だけだった」
「相手に誘われただけだった」
「夫婦関係に不満があった」

このような説明だけで、不貞行為が正当化されるわけではありません。

夫婦関係に不満がある場合でも、それは夫婦間で向き合うべき問題です。不満があること自体は、配偶者以外の人と性的関係を持つ理由にはなりません。

一度許した場合

不貞行為が発覚した後、いったん相手を許し、夫婦関係を続けることがあります。

その後、やはり許せない気持ちが残り、夫婦関係がうまくいかなくなることもあります。

現在の民法には、過去に不貞行為を許したら離婚請求が一切できなくなる、という形の規定はありません。

ただし、一度許したという事情は、裁判で考慮されることがあります。

たとえば、何年も前の不貞行為だけを理由にするのではなく、その後も不信感が続いたこと、夫婦関係が回復しなかったこと、別居に至ったこと、話し合いができなくなったことなどを含めて、婚姻関係が破綻しているかが見られます。

慰謝料請求には時効がある

不貞行為を理由に慰謝料を請求する場合は、消滅時効にも注意が必要です。

不法行為による損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しないとき、または不法行為の時から20年間行使しないときは、時効によって消滅するとされています。e-Gov法令検索・民法 (e-Gov 法令検索)

離婚を求めるかどうかと、慰謝料を請求するかどうかは、分けて考える必要があります。

離婚そのものは夫婦関係の破綻が問題になります。一方で、慰謝料は、誰に、いつ、どのような損害を請求するのかが問題になります。

証拠を集めるときの注意

不貞行為を疑ったとき、証拠を集めたいと思うことがあります。

ただし、証拠の集め方には注意が必要です。

無断でスマートフォンを見る
相手のメールやSNSにログインする
GPSを無断で取り付ける
相手の職場へ連絡する
不貞相手をSNSで非難する
写真や動画を第三者に広める

このような行動は、別のトラブルを生むことがあります。

証拠は、後で説明できる形で残すことが大切です。感情的に動くと、離婚協議や調停で不利な事情として見られることがあります。

証拠を見ること自体の負担

不貞行為の証拠は、見る側にとっても大きな負担になります。

写真、メッセージ、動画、宿泊記録などを見てしまうと、不貞相手だけでなく、配偶者に対する怒りや嫌悪感が強くなることがあります。

慰謝料請求のためには証拠が必要になることがあります。

一方で、夫婦関係を修復する可能性がある場合は、証拠を集めること自体が、関係をさらに壊すきっかけになることもあります。

離婚を前提にするのか。
夫婦関係を戻したいのか。
慰謝料を請求するのか。
子どもの生活をどう守るのか。

証拠を集める前に、目的を整理する必要があります。

不貞行為と離婚条件

不貞行為がある場合でも、離婚するには条件整理が必要です。

不貞の有無だけでは、離婚後の生活は決まりません。

整理すべき内容は、次のとおりです。

離婚するかどうか
慰謝料を請求するか
財産分与をどうするか
別居中の婚姻費用をどうするか
養育費をどうするか
親権・監護をどうするか
親子交流をどうするか
年金分割をどうするか
住まいをどうするか
清算条項を入れるか

不貞行為を理由に離婚を考える場合でも、最後はお金、子ども、住まい、書面の問題に進みます。

感情の問題と、離婚条件の問題を分けて整理することが大切です。

まとめ

不貞行為とは、配偶者のある人が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の人と性的関係を持つことです。

性的関係そのものを直接示す証拠がなくても、ホテルへの出入り、宿泊、メッセージ、調査報告書などから、不貞行為が推認されることがあります。

不貞行為まで証明できない場合でも、交際の内容によっては、婚姻を継続し難い重大な事由として問題になることがあります。

一度許したからといって、離婚請求が当然にできなくなるわけではありません。

ただし、その事情は裁判で考慮されます。

不貞行為を理由に離婚を考える場合は、証拠、時系列、慰謝料、財産分与、養育費、親権・監護、親子交流、住まいを分けて整理する必要があります。

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