介護期のお金の使い方が、相続でどう影響するか

親の病院代を払う。薬代を払う。介護用品を買う。施設費の請求書を確認する。通帳からお金を引き出して、親の生活費にあてる。

介護をしている時は、目の前の支払いを進めるだけで精一杯になることがあります。

ただ、介護中のお金の使い方は、親が亡くなった後の相続にも関わります。

相続の時に見るのは、親が亡くなった時点の財産です。
その財産は、介護中のお金の使い方によって変わります。

親のお金を使うこと自体が問題なのではありません。親の生活や介護のために必要な支出はあります。

問題になりやすいのは、親のために使ったお金を、後で説明できる形にしていないことです。

目次

介護中のお金は、相続までつながっている

親の病院代、介護費、施設費、日用品代、実家の維持費を親のお金から払えば、将来残る預金は減ります。

これは自然なことです。親のお金は、親の生活のために使うものだからです。

ただし、使い道が見えないまま相続になると、家族の不安につながることがあります。

通帳から現金が出ている。預金が減っている。施設費が続いている。何に使ったのかが分からない。

この状態で相続になると、介護中のお金の話が出やすくなります。

介護している家族は、親のために支払っています。介護していない兄弟姉妹は、その場面を見ていません。

この差が、相続の時に不信感として出ることがあります。

まず見るのは、親のお金が何に使われているか

介護中のお金の使い方を見る時は、最初から相続分の話に入らない方がよいです。

まず、親のお金が何に使われているかを確認します。

親の生活に必要な支出なのか。医療や介護に必要な支出なのか。施設で暮らすための支出なのか。実家を維持するための支出なのか。

確認する項目は、次のとおりです。

・親の年金収入
・親の預貯金
・毎月の生活費
・病院代、薬代
・介護サービス費
・介護用品代
・施設費の見込み
・実家の固定資産税、火災保険、光熱費
・家族が立て替えている金額

ここまで見ると、親のお金が毎月どれくらい減っているかが分かります。

施設で暮らす場合、年金で足りるのか。預金を毎月いくら取り崩すのか。実家をどうする必要があるのか。こうした判断にもつながります。

残る財産の総額が変わる

相続で分ける財産は、介護に必要なお金を使った後に残る財産です。

介護費や施設費が長く続くと、親の預金は減ります。

たとえば、年金だけで施設費を払えない場合、預金を毎月取り崩します。

毎月5万円を取り崩す場合と、毎月15万円を取り崩す場合では、同じ預金額でも残る年数が違います。

親が長く施設で暮らす場合、相続で残るお金は大きく変わります。

相続の準備では、今ある財産だけを見ない方がよいです。これから介護費や施設費でいくら使うのかも見ます。

兄弟姉妹にお金の使い道を説明しにくくなる

相続の時、通帳の残高だけを見ても、介護中のお金の使い方は分かりません。

通帳には、入金と出金の記録が残ります。

ただし、現金で引き出した後に何に使ったかまでは分かりません。

施設費の振込なら分かりやすいことがあります。病院代や薬代を現金で払った場合は、通帳だけでは足りません。

介護用品や日用品をまとめて買った場合も、何のための支出かを後から説明しにくくなります。

特に、まとまった金額が動いた支出は、後で確認されやすくなります。

・施設入居時の一時費用
・入院費の支払い
・実家の修繕費
・介護用品の大きな購入
・家族への立替え精算
・現金での引き出し

これらは、金額が大きいほど、何に使ったのかを説明できる形にしておくと安心です。

介護している側と、していない側で見え方が違う

介護している家族には、次のような不安があります。

・親の通帳を預かっていて、後ろめたさがある
・兄弟姉妹に疑われたくない
・介護費を立て替えているのに、説明しにくい

介護していない兄弟姉妹には、次のような不安があります。

・親のお金が、何に使われているか分からない
・介護している兄弟姉妹に、お金のことを聞きにくい
・このまま進むと、後で揉めそうな気がする

介護している側は、「親のために使った」と思います。
介護していない側は、「何に使ったのか分からない」と感じます。

これは、どちらか一方の性格の問題ではありません。見ている場面が違うことから起きる問題です。

この違いを小さくするには、同じ資料で確認できる形にします。親のお金の収入、支出、介護費、施設費、残高の見通しを、家族が見られる形にします。

遺言書の内容と現実がずれることがある

遺言書は、亡くなった後の財産の分け方を決める書面です。

ただし、介護中のお金の使い方を見ないまま遺言書を作ると、書いた時点の財産と、実際に残る財産がずれることがあります。

遺言書を考える時は、今ある財産だけでなく、これから使うお金も見ます。

親のお金の見通し、介護費、施設費、実家の扱い、家族の役割を見たうえで考えると、現実に近い遺言書になります。

記録に残しておくこと

介護中のお金の使い方は、記録に残しておく方が安全です。

細かい家計簿を作る必要はありません。

まずは、次のものを残します。

・病院代の領収書
・薬代の領収書
・介護用品のレシート
・施設費の請求書
・施設費の振込記録
・実家の維持費に関する資料
・家族が立て替えた金額のメモ
・親の通帳の入出金メモ

大事なのは、親のお金を使わないことではありません。親のために使ったお金を、後で説明できる形にしておくことです。

記録があれば、介護している側は説明しやすくなります。介護していない側も、同じ資料を見て確認しやすくなります。

まとめ

介護中のお金の使い方は、親が亡くなった後の相続にも関わります。

病院代、介護費、施設費、日用品代、実家の維持費を親のお金から払えば、将来残る財産は変わります。

親のお金を使うこと自体が問題なのではありません。

問題になりやすいのは、何に使ったのかを後で説明できないことです。

通帳の残高だけでは、介護中のお金の使い方までは分かりません。病院代、薬代、施設費、介護用品代、立替金は、記録を残しておく方が安全です。

介護している側と、介護していない側では、見えている場面が違います。同じ資料を見られるようにしておくと、相続の時に感情だけで説明しなくて済みます。

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