親の通帳を預かっていることに、後ろめたさを感じる時

親の通帳を預かっている。病院代を払う。薬代を払う。介護用品を買う。施設の請求書も、自分が確認している。

親のためにしていることです。それでも、どこか後ろめたい。

兄弟姉妹から何か言われたわけではなくても、親のお金を自分だけが触っている状態が続くと、「後で何か言われるのではないか」という不安が、通帳を見るたびに残ります。

この不安は、悪いことをしているから出るとは限りません。説明できる形がないことから出ることがあります。

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後ろめたさは、形がないことから出てくる

近くにいる人が動く。通帳を預かる。病院や施設の支払いをする。親に代わって、日用品を買う。

介護の現場では、よくあることです。

ただ、兄弟姉妹に見える形がないと、介護している側は不安になります。「自分は親のために使っている」と思っていても、それを説明できるものがないからです。

一方で、介護していない側にも不安があります。親のお金がどう使われているか見えない。聞きたいけれど、聞くと疑っているように見える。介護している人に負担をかけていることも分かっている。だから、聞けない。

その結果、介護している側は「疑われたくない」と思います。介護していない側は「分からないままでは不安だ」と思います。どちらも黙ったまま、時間だけが過ぎていきます。

通帳だけでは足りない

通帳には、入金と出金が残ります。

しかし、通帳だけでは説明が足りません。

たとえば、ATMで3万円を引き出したとします。通帳には、3万円を引き出したことだけが残ります。

その3万円が、病院代なのか。薬代なのか。親の日用品なのか。親に渡した現金なのか。後で見た人には分かりません。

通帳だけでは、何に使ったかまでは分かりません。

だから、通帳と一緒に、支払いの中身を残しておく必要があります。

親のお金を使う時に残すもの

親のお金を使う時は、最低限、次の5つを残します。

・日付
・金額
・支払先
・使い道
・領収書の有無

細かすぎる記録は続きません。すべてを完璧に残そうとすると、かえって負担になります。

ただし、大きな支出と現金の引き出しは残した方がよいです。通帳の出金と、実際の使い道がつながるからです。

病院の領収書。薬局の領収書。施設の請求書。介護用品のレシート。立て替えた金額のメモ。

こうしたものが残っていると、後で説明しやすくなります。

記録は責めるためのものではない

記録を残すというと、疑われないためだけの作業に見えるかもしれません。

しかし、それだけではありません。

記録は、介護している人を責めるためのものではありません。介護している人を守るためのものでもあります。

介護している人は、日々の支払いを抱えています。病院、施設、薬局、介護用品、交通費。すぐ払わないといけないものが続きます。

その中で、兄弟姉妹からお金のことを聞かれると、責められたように感じることがあります。

一方で、介護していない兄弟姉妹も、親のお金が見えないままだと不安になります。通帳の残高が減っている理由が分からないからです。

記録があれば、同じ紙を見て確認できます。感情ではなく、日付、金額、使い道を見て話せます。

親が分かるうちに確認しておくこと

親の通帳を預かる時は、親が分かるうちに確認しておきたいことがあります。

・誰が通帳を預かるのか
・誰が支払いをするのか
・どの支出を親のお金から出すのか
・立て替えた分をどう記録するのか
・兄弟姉妹にどのくらいの頻度で伝えるのか

親が理解できるうちなら、親本人の希望を聞くことができます。誰に何を頼みたいかを確認できます。お金の使い道について、親の考えを聞くこともできます。

ここをあいまいにしたまま進むと、親の判断が弱くなった後で確認できなくなります。

すでに揉めている時は別の対応になる

ここまでの話は、「まだ揉めていないが、このままだと後で何か言われそう」という段階の方に向けたものです。

すでに兄弟姉妹との間で強い対立がある場合は、別の対応になります。

たとえば、お金の使い道について返還を求められている場合。相手が弁護士に相談している場合。

この段階に入っている時は、家族で説明する場面を超えています。争いになっている事案は、弁護士に相談する場面です。

親のお金の記録を整えることは大切です。ただし、争いの相手と交渉したり、どちらが正しいかを代理して争ったりすることは、行政書士の仕事ではありません。

まとめ

親の通帳を預かっている後ろめたさは、親のお金を使っていることだけから来るわけではありません。

お金の流れが、家族に説明できる形になっていないことから出ることがあります。

通帳だけでは、何に使ったかまでは分かりません。日付、金額、支払先、使い道、領収書の有無を残しておくと、後で説明しやすくなります。

親のために動いている人が、後で疑われないようにするためです。介護していない兄弟姉妹も、同じ紙を見て確認できるようにするためです。

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