介護費を立て替えている人が、兄弟姉妹に説明する方法

親の病院代を払う。薬代を払う。介護用品を買う。施設の申込みで必要な費用を先に出す。

そのお金は、親の財布や通帳から出すこともあります。自分の財布やカードで、先に払うこともあります。

最初は、数千円の支払いです。払っている本人も、そこまで大きな問題になるとは考えません。

ところが、通院が続き、介護用品が増え、施設入居の話まで出てくると、親のお金と、自分が立て替えたお金が少しずつ混ざり始めます。

この時に困るのが、兄弟姉妹への説明です。

介護している側は、親のために動いています。必要だから払っています。ただ、介護していない兄弟姉妹には、その場面が見えません。

通帳を預かっている。親のお金を出している。自分も立て替えている。レシートはある。

それでも、お金の流れが見えなければ、後で説明しにくくなります。

介護費を説明する時に必要なのは、上手な話し方ではありません。親のお金と立て替えたお金を、見れば分かる形にすることです。

目次

介護費の立て替えが後で問題になりやすい理由

介護費の立て替えが後で問題になりやすい理由は、主に2つあります。

1つ目は、支払った場面を知っている人が限られることです。

病院で支払う。薬局で支払う。タクシー代を払う。介護用品を買う。親の家の電気代や水道代を確認する。

こうした支払いは、日常の中で発生します。

介護している人には、支払いの理由が分かっています。ただ、遠方の兄弟姉妹には、その場面が見えません。

後から見えるのは、通帳の出金、レシート、残高の減り方だけです。

2つ目は、親のお金と子どものお金が混ざることです。

親の通帳から出したお金。親の財布から出したお金。子どもが立て替えたお金。子どものカードで払ったお金。

これが混ざると、後から説明しにくくなります。

通帳には、出金額しか残らないことがあります。レシートには、支払いの中身しか残りません。

立て替えた人の記憶だけでは、時間がたつと説明が弱くなります。

まず分けるのは3つ

最初にすることは、支払いを分けることです。

大きく分けると、次の3つです。

・親のお金から払ったもの
・子どもが立て替えたもの
・親のためか、家族のためか分かりにくいもの

この3つを混ぜたままにすると、後で見た時に分かりにくくなります。

親のお金から払ったものは、親の通帳や親の財布から出した支出です。病院代、薬代、施設費、介護用品代、親の家の公共料金などが入ります。

子どもが立て替えたものは、子どもの現金、口座、カードから出した支出です。あとで親のお金から精算する予定があるなら、立て替えとして分けます。

分かりにくいものは、別にしておきます。

親の家に行く交通費。家族の食事代。自分の買い物と一緒に買った日用品。

これは、使ってはいけないという意味ではありません。ただ、後で見た時に、親のための支出かどうか確認が必要になりやすい支出です。

説明する時は金額だけで終わらせない

介護費を立て替えた時は、金額だけを伝えても足りません。

「4月分、介護費2万円。」

これだけでは、兄弟姉妹は確認できません。

何に使ったのか。誰が払ったのか。親のお金から返してよいものなのか。そこが分からないからです。

説明する時は、次の流れが分かるようにします。

・いつ払ったのか
・どこに払ったのか
・何のために払ったのか
・いくら払ったのか
・誰が払ったのか
・親のお金から精算する予定があるのか

この流れがあると、兄弟姉妹は確認しやすくなります。

介護している側も、説明のたびに記憶をたどらなくて済みます。

大事なのは、立て替え分を「あとで見て分かる形」にすることです。

親のお金から出した分も一緒に説明する

立て替え分だけを説明しても、足りないことがあります。

親のお金から出した分も、同じように見える形にします。

親のお金から払ったのだから問題ない、とは限りません。介護していない兄弟姉妹が気にするのは、「親のお金が何に使われたか」です。

通帳を見れば、引き出した金額は分かります。

ただ、現金で引き出した後の使い道までは分かりません。

病院代に使ったのか。薬代に使ったのか。介護用品に使ったのか。親の生活費に使ったのか。手元に残っているのか。

ここが見えないと、後で確認しにくくなります。

通帳を預かっている人ほど、記録が必要です。

記録は、疑われないためだけに作るものではありません。介護していない側が、親のお金の流れを確認できるようにするためにも必要です。

介護している側の不安

介護している側には、不安があります。

自分ばかり払っている。自分ばかり動いている。兄弟姉妹に説明しにくい。通帳を預かっていることに後ろめたさがある。親が亡くなった後に何か言われそうな気がする。

この不安は、気持ちだけの問題ではありません。

お金の流れが見えないままだと、介護している人の負担が表に出ません。立て替え分も残りません。親のお金から出した支出も、後で説明しにくくなります。

その結果、介護している人だけが、手続きと支払いと説明の責任を持つ形になります。

必要なのは、気持ちを分かってもらうことではありません。まず、支払いの流れを見える形にすることです。

介護していない側の不安

介護していない兄弟姉妹にも、不安があります。

親のお金がどう使われているか分からない。通帳を預かっている人だけが、お金を動かしているように見える。相続の時に、自分が不利にならないか気になる。介護している人に聞きにくい。

介護していない側の不安も、気持ちだけの問題ではありません。

情報が見えないことから起きる不安です。

支払いの記録がある。親の預金残高が分かる。毎月の収支が分かる。立て替え分が分かる。今後必要になりそうなお金が分かる。

この状態になれば、家族全員が同じ材料を見られます。

説明は、介護している側だけを守るためのものではありません。介護していない側が、親のお金の流れを確認するためのものでもあります。

月ごとに見ると説明しやすい

介護費は、1回ごとに見るより、月ごとに見る方が分かりやすくなります。

病院代だけでは全体が見えません。薬代だけでも足りません。介護用品だけを見ても、家計の流れは分かりません。

月ごとに見ると、親のお金の動きが見えます。

毎月いくら入っているか。毎月いくら出ているか。介護費がどれくらい増えているか。立て替え分がどれくらいあるか。施設費が入ると、どのくらい支出が増えるか。

ここを見ることで、親のお金があと何年もつか考えやすくなります。

介護費の説明は、過去の支払いだけの話ではありません。これからのお金の話でもあります。

親のお金が今いくらあるのか。これから何に使うのか。施設入居を考える時に費用は足りるのか。相続の時に、家族が後から困らない形にできるか。

ここまでつながります。

レシートと通帳だけでは足りないことがある

レシートを残すことは大切です。通帳を確認することも大切です。

ただ、それだけでは説明資料として足りないことがあります。

レシートは、支払いの中身を示します。通帳は、お金の出入りを示します。

しかし、レシートと通帳だけでは、全体の流れが見えません。

何月分なのか。親のお金から出したのか。子どもが立て替えたのか。親の生活費なのか。施設入居に向けた支出なのか。今後も続く支出なのか。

ここを整理する必要があります。

説明できる形にするには、レシート、通帳、支出の内容、立て替え分、今後の見通しをつなげます。

つなげることで、初めて家族が見られる資料になります。

すでに対立している場合は別の対応になる

ここまでの話は、「まだ家族の中で説明できる段階」の方に向けたものです。

すでに兄弟姉妹との間で強い対立がある場合は、別の対応になります。

たとえば、お金の使い道について返還を求められている場合。相手が弁護士に相談している場合。

この段階に入っている時は、家族で説明する場面を超えています。争いになっている事案は、弁護士に相談する場面です。

介護費の立て替えは、まだ説明できる段階で記録を整えておくと、整理しやすくなります。対立が深くなってからでは、整理だけでは足りないことがあります。

まとめ

介護費を立て替えている時に必要なのは、上手な話し方ではありません。

親のお金と立て替えたお金を、見れば分かる形にすることです。

まず、支払いを3つに分けます。

親のお金から払ったもの。
子どもが立て替えたもの。
親のためか、家族のためか分かりにくいもの。

金額だけではなく、いつ、どこに、何のために、誰が払ったのかを残します。

レシートと通帳だけでは、全体の流れが見えないことがあります。月ごとにまとめると、兄弟姉妹に説明しやすくなります。

介護している側にも、介護していない側にも、それぞれの不安があります。どちらか一方を責めるのではなく、同じ資料を見て確認できる形にすることが大切です。

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